Posts Issued on March 31, 2026

PFHとPMHFの比較

posted by sakurai on March 31, 2026 #1071

VSG 計数過程を用いた PMHF と PFH の厳密比較

前稿までに PMHF については、非行列導出と行列導出の両方を与えました。一方、PFH については行列を用いた導出が中心であり、見え方が非対称でした。本稿ではこの非対称性を解消するため、危険事象を最初から同じ VSG に固定し、その発生回数を数える計数過程を導入することで、PMHF と PFH を厳密に比較します。

確率空間 $(\Omega,\mathcal F,\Pr)$ 上で定義されたサブシステム過程 $(\eta_t^\text{sub})_{t\ge0}$ を考えます。VSG に対応する危険集合を $\mathcal P_\text{VSG}$ とし、時刻 $t$ までに発生した VSG の累積回数を表す計数過程を $(N_t^\text{VSG})_{t\ge0}$ とします。VSG の初回発生時刻を

$$ \sigma_\text{VSG}=\inf\{t\ge0\mid N_t^\text{VSG}\ge1\} \tag{1071.1} $$

と定義します。

このとき、寿命 $T$ までに少なくとも一度 VSG が発生した事象は

$$ \Pr\{\sigma_\text{VSG}\le T\}=\Pr\{N_T^\text{VSG}\ge1\} \tag{1071.2} $$

と書けます。したがって PMHF は

$$ \mathrm{PMHF}(T)=\frac{1}{T}\Pr\{\sigma_\text{VSG}\le T\}=\frac{1}{T}\Pr\{N_T^\text{VSG}\ge1\} \tag{1071.3} $$

で定義されます。

一方、同じ危険事象 VSG に対して PFH は、その発生回数の期待値から

$$ \mathrm{PFH}(0,T)=\frac{1}{T}E\{N_T^\text{VSG}\} \tag{1071.4} $$

と定義されます。

ここで、時刻 $T$ までにちょうど $n$ 回 VSG が発生する確率を

$$ p_n(T)=\Pr\{N_T^\text{VSG}=n\} \qquad (n=0,1,2,\ldots) \tag{1071.5} $$

と書けば、

$$ \Pr\{N_T^\text{VSG}\ge1\}=\sum_{n=1}^{\infty}p_n(T), \qquad E\{N_T^\text{VSG}\}=\sum_{n=1}^{\infty}n\,p_n(T) \tag{1071.6} $$

です。

したがって、PMHF と PFH の差は

$$ \mathrm{PFH}(0,T)-\mathrm{PMHF}(T)=\frac{1}{T}\left(\sum_{n=1}^{\infty}n\,p_n(T)-\sum_{n=1}^{\infty}p_n(T)\right) \tag{1071.7} $$

となり、さらに整理すると

$$ \mathrm{PFH}(0,T)-\mathrm{PMHF}(T)=\frac{1}{T}\sum_{n=2}^{\infty}(n-1)p_n(T) \tag{1071.8} $$

を得ます。

すなわち、PMHF と PFH の厳密差は、寿命区間内における 2 回目以降の VSG 発生の寄与そのものです。PMHF は「一度でも起きたか」を見るのに対し、PFH は「何回起きたか」を見るので、この差が生じます。


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