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PFHとPMHFの比較 |
VSG 計数過程を用いた PMHF と PFH の厳密比較
前稿までに PMHF については、非行列導出と行列導出の両方を与えました。一方、PFH については行列を用いた導出が中心であり、見え方が非対称でした。本稿ではこの非対称性を解消するため、危険事象を最初から同じ VSG に固定し、その発生回数を数える計数過程を導入することで、PMHF と PFH を厳密に比較します。
確率空間 $(\Omega,\mathcal F,\Pr)$ 上で定義されたサブシステム過程 $(\eta_t^\text{sub})_{t\ge0}$ を考えます。VSG に対応する危険集合を $\mathcal P_\text{VSG}$ とし、時刻 $t$ までに発生した VSG の累積回数を表す計数過程を $(N_t^\text{VSG})_{t\ge0}$ とします。VSG の初回発生時刻を
$$ \sigma_\text{VSG}=\inf\{t\ge0\mid N_t^\text{VSG}\ge1\} \tag{1071.1} $$
と定義します。
このとき、寿命 $T$ までに少なくとも一度 VSG が発生した事象は
$$ \Pr\{\sigma_\text{VSG}\le T\}=\Pr\{N_T^\text{VSG}\ge1\} \tag{1071.2} $$
と書けます。したがって PMHF は
$$ \mathrm{PMHF}(T)=\frac{1}{T}\Pr\{\sigma_\text{VSG}\le T\}=\frac{1}{T}\Pr\{N_T^\text{VSG}\ge1\} \tag{1071.3} $$
で定義されます。
一方、同じ危険事象 VSG に対して PFH は、その発生回数の期待値から
$$ \mathrm{PFH}(0,T)=\frac{1}{T}E\{N_T^\text{VSG}\} \tag{1071.4} $$
と定義されます。
ここで、時刻 $T$ までにちょうど $n$ 回 VSG が発生する確率を
$$ p_n(T)=\Pr\{N_T^\text{VSG}=n\} \qquad (n=0,1,2,\ldots) \tag{1071.5} $$
と書けば、
$$ \Pr\{N_T^\text{VSG}\ge1\}=\sum_{n=1}^{\infty}p_n(T), \qquad E\{N_T^\text{VSG}\}=\sum_{n=1}^{\infty}n\,p_n(T) \tag{1071.6} $$
です。
したがって、PMHF と PFH の差は
$$ \mathrm{PFH}(0,T)-\mathrm{PMHF}(T)=\frac{1}{T}\left(\sum_{n=1}^{\infty}n\,p_n(T)-\sum_{n=1}^{\infty}p_n(T)\right) \tag{1071.7} $$
となり、さらに整理すると
$$ \mathrm{PFH}(0,T)-\mathrm{PMHF}(T)=\frac{1}{T}\sum_{n=2}^{\infty}(n-1)p_n(T) \tag{1071.8} $$
を得ます。
すなわち、PMHF と PFH の厳密差は、寿命区間内における 2 回目以降の VSG 発生の寄与そのものです。PMHF は「一度でも起きたか」を見るのに対し、PFH は「何回起きたか」を見るので、この差が生じます。
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